PINK

Saturday, May 20

インガのアトリエ

インガはドイツ人のアーティストで私の一つ隣りのスタジオにいる。
もともと数学畑からでてきた彼女は、切り口のユニークなコラージュ作品を得意としている。
実は私は彼女のアトリエをのぞくのが大好きで、
「おもしろいことするから来ない?」
と呼ばれると、製作中でもすぐに駆けつける。

ある日、ラバーヌと一緒に彼女の部屋へ。
そこは様々な試みの実験室で、少年のような奇抜な夢に満ちている空間である。
それと同時に彼女のアッサンブラージュ(寄せ集め芸術)には、ヨーロッパの退廃と官能とが不思議に混じり合っている。
とても妖し気な魅力。
どこかから、マルレーネディートリッヒのささやくような低い歌声が聞こえてくるようだ。

この日はジェロと呼ばれる、ゼリーを使う版画の仕方を実験。
このポイントはジェロが全く毒性のない材料だという点にある。
固まったジェロの上にインクを落とし、ローラーでまんべんなく伸ばした後、拾ってきた木の葉の色々をのせ、紙をその上から押さえる。すると、紙におもしろい模様がつく。

その他の機会には、鍵の赤錆を使って白い布に模様をつけたりと、色々子供っぽいことをして遊んでいるわけである。

インガが小さな箱の中から、大事そうにシルバーの小さな使い捨てのハードディスクを出して、その上に文字を写す方法を説明してくれた。
アイロンを使うのであるが、そのディスクを手のひらに乗せていた私、何もしないのに、それをパカッと3つに割ってしまった!
まるで、”ブリキの太鼓”の主人公の少年が「ア〜!」と叫んだら、ガラスがバリバリっと割れてしまったように.....

それで罰として、インガに私の制作時の秘密のテクニックをあげることになってしまった。
 

2 Comments:

At 3:39 PM , Anonymous Anonymous said...

ジェロ、わたしもやってみたいわ~。今日アートセラピーを少し使った(心理学的分析はなし)ワークショップに行ったのよ。

 
At 2:27 AM , Blogger PINK said...

私もアートセラピーにすごく興味があるの。
分析はしなくて、ただ、何か人々に癒しを与えるような形のね。
自分自身がそれで随分癒えた部分があるので。
それから、ミュージックセラピーも興味があるわ。

 

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