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Wednesday, October 4

グラスビーチ

海岸沿いのハイウェイ一号線を、北に向かって上がって行くと、メンドシーノ(Mendocino)という海辺の町に辿り着く。

その小さな町の通りの両側には、観光客用のお土産品を売っているお店が、たくさん軒を連ねている。
中にはおいしいジャムのお店や、ケーキ屋、さらに一風変わった”何でも屋さん”のようなお店もある。
その店に入って印象的なのは、天井まで積まれた中古のビデオの山々である。
この”何でも屋”の少し突き出した店先には、ハワイの陶芸家のおおらかな作品がぶっきらぼうに置かれている。
妙なアンティークもあるし、少なめの絵はがきも、入り口付近で潮風に吹かれて、色あせている。
風変わりな様相のおじいさん店主が、その雑然とした中に座って本を読んでいる。
このおじいさんは我々が物を買っても、お客から税金はとらない。
”どうせ、刑務所の施設向上のために使われるだけだからねえ。”などといいながら、しわくちゃな紙につつんだお茶碗と釣り銭を渡してくれた。

風景画や動物画のアートギャラリーもちょっと坂を上がったあたりにちらほら見える。

さて、メンドシーノ繁華街から、車で一号線を少し北に向かうと、Fort Braggという町があって、そこにはちょっとおもしろい海岸がある。
グラスビーチである。
海に近いところで車を駐車場に止めて歩き出す。
海岸までの道のりには、たくさんの黒いちごの茂みが続いている。
乾いた土ほこりがたまに舞い上がる。

信じがたいことだけれども、1949年のはじめには、ここは公共のゴミ捨て場所だったそうである。
当時、人々はいらなくなった古い車、家の中の電化製品、さらに使用後のガラス瓶等を直接、海の中に捨てていたらしい。
1967年にゴミ捨てが禁止になるまで、この海辺に捨てられたガラス瓶の数は莫大な数だという。
そして、それらのガラス瓶のかけらは、長い間に強い海流に洗われ、きれいに丸みをもったガラスになって、ここに再び戻ってきた。
今では、ゴミ捨て場だったことが嘘のように、透き通った海水の打ち寄せる浜辺。
その浜辺の上で、ガラスの破片が、日の光で宝石のように輝いている。

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