Sunday, December 10
Saturday, December 9
尾崎 豊
あるブロッガーさんに薦められて、尾崎豊の”普通の愛”を読んだ。
純粋な魂に、涙がこぼれてこぼれて、翌日、私の目はお岩さん。
だから、もう日の光がまぶしくて。
彼が、妻と小さな息子とに別れを告げて、家をでるシーン。
もう、戻らないと決心して、玄関まで行くと、一才三ヶ月のその息子が泣きべそかきながら、よちよち歩きで彼を後追いする。
彼は子供に大きな試練を与えてしまったことを感じ、それ以上、息子の顔を見る事ができない。
やがて、彼は子供を諦めることを決心する。
それと同時に、「この子には離婚を経験しなくてすむような、ふさわしい女性が現れるように祈ろう」と思う。
彼は続ける。
「誠実さは諦めの中には生まれない。
この世には本当にかけひきのない愛がある。
それを探してほしい。
それを見つけることはとても難しいことかもしれない。
何故なら僕は失格者になって初めてそれに気づいたんだ。
だから遠回りすることも多いかもしれない。
でも負けないでほしい。
きっと、きっと探し続けるその先に見つかるはずだから。
そして背負う悲しみも多いだろう。
けれど本当の愛には自分を偽って取り繕うものは何もないんだ......」
そして、もう一冊の詩集、「白紙の散乱」にはあきらかに彼の愛する息子へとみられる詩がかかれている。
雲の上で
雲の上で遊んでいる君よ
笑っていておくれ僕のために
その夢が覚めて泣き出しそうな時には
暖かい愛情が君を癒してくれればいいのだけれど
どんな気持ちでいるんだい
どんな夢をみているんだい
どんな言葉を覚えたの
雲の上で遊んでいる君よ
君は笑いながらやがて思い切り走り出すのだろう
そしてつまづいたり
転んだりしながら
やってゆくんだ
どうか人の冷たい手に触れることがないように
どうか人の心がいつでも暖かく君を包むように
そうずっと願っているからね
今日の雲の上はどんな日ですか
ひとつひとつの言葉が、杭のように心の奥に突き刺さる。
詩とともに、彼が撮ったという写真も素晴らしい。
尾崎豊は、実は天才だったんだ。
Friday, December 8
ジョニーディップ
レベッカ、(足のみの出演)の人形を見る。
私のスタジオに飛び込んで来た彼女に連れられて、違う建物の中にある、彼女のスタジオに行く。
そこは、彼女と旦那さんのタイブイとが一つの空間をシェアしている。
タイブイは大きな石ころとメタルを合わせて、人の心臓を一発でうがつほどの彫刻を作っている。
見た目は静かで無口な彼だけど作品はすごい迫力。
レベッカは絵やら、彫刻やら、人形と、多方面で活躍している。
今日、レベッカが見せてくれたのはジョニーディップの人形。
人形といっても、皆が想像するような、かわいいもんじゃない。
暗闇の中、じっとこちらを見透かすような目で、今にもその手を私に差し伸べそうな魂のある人形だ。
布製の体に、本物の心臓を持っているような.......。
夜、人形とともに部屋に残されたら、 ちょっとこわい。
そんなジョニー人形に向かって、
「オー、 ジョニー..」と夢見がちに言うレベッカ。
目からは、ハートがひとつ、ふたつ、みっつ.....。
そういえば、このところ、ジョニーディップの人気がうなぎ上りだ。
ロンドンから、先日やってきた友人も好きだといってたし、ジョニーの話になると女性ども、やけに盛り上がる。
だから、私もサービス精神で、どこかで拾ったジョニーの話題をくまなく提供している。
「ジョニーも、絵を描くのよ。」と得意気に私。
「え〜ほんと?」
「ジムで読んだ雑誌に、彼の絵がのってたのよ。
逆さに足を縛られて、吊る下がってる自画像。」
「うわ!」
っていう感じ。
ところで、ロンドンの友人の男友達が、The Libertine撮影中の彼のインタビューにつきあったらしい。
その彼でさえ、「やっぱり、彼はとても魅力的な奴だ。」といってたとのこと。
ジョニー人気、いつまで続くか!
Wednesday, December 6
ベトナム料理
ある夏、妹のところにベトナム人の家庭教師がついた。
リーさんといって、とても小柄で痩せていて、目が賢そうにきらきら光ってた。
学生が皆、夏休みで故郷に帰るのに、インターナショナルの学生だけが寮に残り、そこから数学教師として迎えられたというわけである。
が、妹も我々も、リーさんの言っている日本語が良くわからず、結局、我々が彼に日本語を教える時間の方が彼の妹に教える数学の時間よりも多いという結果になった。
世話好きの我が母は、貧乏留学生のリーさんに(といっても、中国系華僑の息子で家はすごいお金持ちらしかったが。)毎週、頑張って夕食を作ってあげた。
そんなある夜の食卓で、リーさんが、私の母のようにふっくらした人をベトナムで見た事無いということから、大きな笑いがおこり、母も照れ笑いで「やだ〜、リーさんたら!」なんて言っていた。
母の身長が153センチあまりで、体重が47キロくらいなら日本の標準なのではないかと思うのだが、実際、私はベトナム人で太った人を今だに見た事がない。
アメリカの町のあちこちで見かける、ベトナム人経営のネイルサロンのお姉様たちも、皆スリムでエレガントな体型。
それなのに、あるべきところはあるという理想形。
うらやましい!
ひょっとすると、これはベトナムの食生活の影響もあるかもしれない。
......と、突然、リーさんから話がかなり飛ぶが、本日のお昼頃、スタジオに籠っている私のもとへ、友人から連絡が入り、新しくできたというベトナムレストランに行ってみた。
PHO...むにゃむにゃという名前で、何の色気もない簡素なインテリアで、でも、何故かすごくリラックスできる雰囲気。
しかも、とてつもなく安い!
メニューには大と小のサイズがあり、もちろん我々は小を選択。
(それにしても、この写真では随分大きく見える....ひょっとしたら、日本サイズの大かもしれない。)
コンデンスミルク入りのベトナムコーヒーは、カップの上にアルミのコーヒー漉しがのっかっていて、数分でコンデンスミルク入りのカップに落ちる。
それを、氷の入ったグラスに注いでかき混ぜる。
これが結構楽しい。
安くて、美味しくて、野菜たっぷりのベトナムのヌードルの後は、スタジオに戻って、はりきってお絵描きした。
また今度行きたいな。
Sunday, December 3
Cuties みかん
やっとCuties(キューティーズ)みかんの季節がやってきました。
Cutiesみかんというのは、ここ数年、この季節になると出回る小さなみかん。
小さな箱に40個ばかり、ころころ入っていて、数日でお腹の中に消えてしまうかわいいみかん。
味は、私が”みかんの王様”と呼んでいる、三ヶ日みかんによく似ていて、甘みが凝縮している中にもちょっとした酸味があって、おいしいのです。
今までの、中途半端な甘味で皮がやたらにゆるいみかん、逆にすごく酸っぱく、皮が密着して、ちまちまと剥いていたみかんに比べると、みかんにジッパーがついているようで、とてもスムーズにむけます。
本当にかわいいみかんのCutiesちゃんです。
そして、そんなCutiesちゃんの出回る頃になると、なぜか私、オレンジ色の絵の具に手が伸びてしまうんです。
Cutiesちゃんに、色の触発もされてしまうんです。
さて、40個のCutiesちゃんをお腹に納めたあと、かわいいCutiesマークのついたその箱は、私の絵の具入れにもなるんですもの、本当に何から何まで役に立つCutiesちゃんです。
Cuties ちゃん、Cutiesちゃんってちょっとしつこかったかしら?
Thursday, November 30
寒い!
随分寒くなりました。
私が9月の台風と、追いかけごっこするようにカリフォルニアの地を踏んで、もう既に9年の年月が過ぎようとしています。
その頃の冬というのは、「ここは、冬でもTシャツで平気」と日本の知人向けに書いたように、暖かくて、手袋や、マフラーもあまり見かけなかったように思います。
ところが、年々、冬がさらに寒くなってきているのをはっきり感じます。
今日もぶるぶるスタジオで震えながら、絵を描いていました。
いや、スタジオには床暖房がついているのですが、水が冷たくて....。
私は絵を描くのに、たくさんの水を使います。
それから、たくさんのブラシを洗ったり。
だから、お湯が出ないのはつらい。
でも、他の地域のスタジオの人々に比べると、各部屋に水場があるだけ贅沢というものです。
ここの"Artist in residence"の審査に幸運にも受かってこのスタジオを手に入れる前は、自宅から高速で20分もかかる、サンノゼの大倉庫を25人あまりのアーティストとシェアーしてました。
我々のスタジオは結構広くて、そこに私も含めて、4人の女性アーティストが日々絵を描いてました。
その大倉庫の隣は、悪名高いピンクフラミンゴホテルで、以前は妖し気な雰囲気のお嬢様方が右往左往されるようなとこだったそうです。
夜になると、本当こわい。
私の部屋の前にアトリエを持つアーティスト、以前はヘビメタやってた強面のTにワイン差し入れして、ボディーガードの役目を頼んでたくらいです。
そこは、まず、天窓があるのみで、トイレは遠く、そのトイレが水場になっているようなところでしたが、それでもAレベルの環境だったんです。
もっとすごい所いっぱいありますから。
だから、現在のスタジオなんか、天国というべきでしょう。
しかし、今日は本当に水が冷たい。
帰宅したら、くしゃみが出始めました。
皆様も、風邪など引かれないように。
Tuesday, November 28
ヤッホー!
ついにスタジオに帰還。
気分がいい〜。
絵の具の匂い、このインド製のピンクのカーテンの手触り。
さらに、小汚いわりにはフロアー暖房付きという不思議な豪華さ。
それにしても、大きなキャンバスに大きなブラシで流線を描く時の気分ときたら、最高だ!
窓の向うから誰かが"hello, hello..."というので、カーテンを開いてみたら、シャロンが針金でできた作品を手に一杯抱えて微笑んでいた。
彼女も、やっと”Home"に帰ったきたと強調していた。
本当かどうか私は知らないが、草間彌生が、ある日本のInstitutionの個室に住み、そこからスタジオに通っているとかいう話を、シャロンがしてくれて、「それって、いいと思わない?」「そうよね、全く現実離れしてるよね〜、素敵!!」と、ちょっと立ち話。
昔見た、吉本ばななの”キッチン”という映画の中に出て来るような人々が一杯いるのかな。
あの登場人物たちこそ、私の大好きな人々だ。
今日は小さいキャンバスを塗り替えるために、マウスというサンドペーパー付きの機械を使ってバーニッシュを削った。
それにしても、見かけは格好いいけど、大して効果のないちび機械だということが判明。
しかも、スイッチをオフにしてもオンにしても、ずっと震えている。
仕方がないからコンセントを抜いたら、火花が出た。
あぶないなあ。
ま、安いからいいようなものの。